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たとえ現実がどれほど残酷だとしても・・・(2) [長編]

「ヒカル、ねえヒカルったら」

幼馴染の藤崎あかりが不貞腐れた表情のヒカルに声をかける。


小学校も高学年になると女子と一緒に歩いていたら

からかわれるからわざとヒカルはそっけない態度をとる。

いつまでも幼稚園児じゃねえぞと言ってやりたいが

そんなことを言おうものなら多分倍以上文句を言われる。


「もう!ヒカルったら」

返事をしないヒカルにむくれる。


ああ、めんどくせえ。

女ってなんでこんなにうるさいんだろう。


初恋もまだだったヒカルには女はすぐ泣くしふくれるし

面倒な存在でしかなかった。


『その面倒な事をしてあげたいと思う事が愛しいという気持ちなんですよ』

誰かが囁いた。


「えっ!?」


「何よ!突然大きな声を出して」

「今、おまえ何か言った?」


「何も言ってないよ。大体、ヒカルが早足で歩くから追いつくの

必死でそれどころじゃなかったもの」


あかりの声じゃない。

いや、声というより頭に直接響いたような・・・。


ヒカルは否定するように大きく頭を振った。


俺、もしかして寝ぼけてんのかな。


まさか夢とその事が繋がっているなんて思ってもいなかった。






今の少年は誰なのでしょうか?

私が生きていた世界とは異なる衣装に言葉。


けれどあの少年の眩しいくらいの瞳の輝きは

まさに生きている人間のもの。



私の耳に届くのはあの少年の声だけ。

だから思わず呼び掛けてしまった。

届くとは思わなかったから彼同様私も驚いた。



さて彼は私を救ってくれる存在なのだろうか?











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