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ANOTHER STORY(51) [長編]

ー週刊碁編集部ー

「う~ん」

天野が難しそうな顔をしながら人差し指でこめかみを何度か突く。

「何か上に言われたんですか?」

同僚の記者が声をかける。

「いや。ただ最近若年層の囲碁人口が伸び悩んでいるだろう。

何か手を打たないといけないなと思ってね」

「そう言えばそうですね。少し前はちょっとしたブームでしたが」

「どうかしましたか?」

二人が話してるのを見て何人か集まってきた。

天野が同じように説明すると一人の記者が興奮気味に言った。


「年齢層を定めて碁の大会を開きませんか?」

「大会は全国何カ所か開催されてるからねえ」

「・・・・そうですね」

いい案だと思った記者は少ししょんぼりしたようだった。

「じゃあ、ジュニアのアジア大会は?」

「北斗杯があるしね。他の国の棋士が来てくれるか分からないし。

スポンサーが付かないとなあ」

「スポンサー・・・・、北斗杯でも苦労しましたからね」


一同しばらく黙ったままだった。


インドア派のしかも年寄りのものだと思われがちの囲碁を

広めるにはどうすれば良いか考えあぐねていた。


「塔矢アキラ四段を広告塔に使ってみては?」

「僕もそれは考えたんだが彼はどちらかというと

そいうものは好きではないようだ」

「では進藤ヒカル初段と二人ならどうですか?」


「・・・だが、二人はあまり仲が良くないらしい」

「そうですか?私はそう思えませんが・・・」

「一度、聞いてみるけどね」



ー数日後ー

アキラとヒカルは事務局で天野を訪ねていた。


「二人とも忙しいのにすまないねえ」

営業職のクセなのかにこやかに話を進める」


「それで、僕と進藤にどうしろとおっしゃるんですか?」

アキラは不機嫌そうに聞いた。

ヒカルは何か言うわけでなくただ腕を組んでアキラの隣に座っていた。

「週刊碁で特集を組もうかと考えているんだよ」

「申し訳ありませんがボクはアイドルでも芸能人でも

ありませんので・・・」

「俺も塔矢と同じだ。それより地方の仕事や碁会所に行って

PRする方がいいんじゃない?」

「しかし、君達も手合いで忙しいだろう?」

「塔矢と違って俺は手空きがあるから大丈夫だ」

ヒカルはアキラの方をチラッと見た。












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