SSブログ

緒方先生お誕生日おめでとうございます!! [短編]

「はい、これ」

ヒカルはぶっきらぼうにマッチ箱くらいの大きさのものを

緒方にすれ違い様に渡した。

「何だ、これは?」

「別にたいしたもんじゃないよ。今日緒方さん、誕生日なんだろう?」

「どうしてそんな事知ってる?」

緒方の目が険しい。

「別に探ったわけじゃないよ。塔矢の碁会所で芦原さんが

話してたのを偶然聞いたから」

「あのおしゃべり野郎が!」

受け取ったものが形が変形するくらい握り締めた。

「ひでえな。折角包んでもらったのに」

「・・・・何のつもりだ?」

「別に、誰にも何ももらえないと思っただけさ」

「勝手に決め付けるんじゃない!」

「じゃあ、誰かに何かもらった?」

「・・・・・・」

緒方は睨んだまま何も言わなかった。

そのまま自分の車の方に歩いていった。


「礼くらい言ったら?」

ヒカルは追いかけてきた。

「強要するくらいなら返す!」

緒方は付きかえした。


「要らないよ!俺タバコ吸わないし・・・」

その言葉で中身はライターだと分かった。


こいつの行動パターンが理解できん。


「塔矢も薄情だよな。知ってるくせに何もあげないなんて」

「アキラくんは自分の時に断り易いから最初からそんな事は

しないのさ」

「何か事務的だな」

「おまえみたいに打算的じゃないのさ」

「打算的?」

「どうせ飯でも奢らす気だろう?」

「それこそ考えすぎだよ」

「いいや、飯に行くぞ。後で何を言われるかわからんからな」

緒方は強引に腕を引っ張って車に放り込んだ。


「いてっ!!」

ヒカルは頭を天井にぶつけて痛がっている。

そんな事はおかまいなしに車は発進した。


「ちゃんとシートベルトをやれ」

「自分が急発進したんじゃないか」

「知り合いにでも見られて余計な詮索をされたくない」

「じゃあ、そこで下ろしてくれよ」

「うるさい!黙って座ってろ」

「酒も飲んでないのに目が据わってる・・・」


しばらくしてとある高そうな料亭に着いた。


「こんな高そうなとこ遠慮するよ。服もこんなんだし」

「余計な事だ。行くぞ!」

緒方は慣れた様子で中に入っていった。


ー二時間後ー

「半分、俺が出すよ」

食事を終えて精算の所でヒカルは言った。

「おまえみたいなガキが払える金額じゃない」

「だからって・・・」

「俺に恥をかかせる気か?」

「・・・・・」

ヒカルは渋々財布をポケットに戻した。



車に中で緒方は呟いた。

「自分の誕生日にどうしてガキに飯を食わせなきゃいけないんだ?」

「だからいいって言ったんじゃないか」

「うるさい」

「緒方さんは都合が悪くなると『うるさい』って言うんだね」



「まあ、おまえみたいなガキでも一人で飯を食うより

ましだったがな」

独り言のように緒方は小さな声で言った。







あとがき

結局、緒方さんはヒカルに振り回される運命なんでしょうか?

幸せにしてあげたかったんですが・・・・。

急に思いついた話なので荒いですがよければ楽しんでください。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。